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S女小説 麗しき残忍「モデル議員の牡秘書虐め」


S女小説 麗しき残忍「モデル議員の牡秘書虐め」を電子書籍として出版しました。

内容紹介

女性幹部ばかりの議員事務所で、奴隷のように虐げられる男たちの悲話

とある事情で長年勤めた会社を退職した小竹忠博(40)は、ボランティアとして、元ファッションモデルの県議会議員、藤岡玲子(36)の事務所に出入りすることとなった。入所早々、玲子の男性秘書、蛭川(58)への厳しすぎる指導を目の当たりにして、恐れおののく忠博だったが、可憐な秘書長、柴坂聖子(24)の魅力が、彼を激しく惹きつけ、可能な限りここで力を尽くす決心をさせる。職場で広報の経験があった忠博の貢献もあって、翌春の地方統一選挙において、玲子は見事に再選。彼を正式な秘書として登用した。しかし忠博が光栄に浸ったのもつかの間、彼の人生の歯車は玲子を始め周囲の女性たちによって、徐々に狂わされていくのだった。

第一章 議員事務所は美女の花園

第二章 ミスの制裁は虐待と屈辱

第三章 秘書採用は地獄の入り口

第四章 足舐め靴舐めブーツ舐め

第五章 恥毛を剃られて強制手淫

第六章 憧れの秘書長に犯されて

本文サンプル

第一章 議員事務所は美女の花園

☆ 一

 駅を降り、くれないに色づいてきた街路樹の道を五分ほど歩いて、小竹忠博は目的の場所に着いた。平屋建ての事務所である。
―――約束の時間、間違っただろうか……
 ドアには鍵が掛かっていて、呼び鈴を数度鳴らしたが応答はない。どうやら誰もいないようだ。
「小竹さん、ですか?」
 背中からの声に忠博は振り返る。
「あ、はい……」
「すみません、遅くなっちゃって」
 若い女性が立っていた。色白で目のぱっちりとした美人だった。
 女性はドアの鍵を開けると明かりを点けて忠博を打ち合わせテーブルに案内し、バッグから名刺を取り出した。
「はじめまして。柴坂です」
 洗練されたデザインの名刺には、《○○県議会議員藤岡玲子事務所 秘書長 柴坂聖子》とあった。
「頂戴いたします。はじめまして、小竹です。すみません、今は身分がないもので……名刺の方がちょっと……」
 忠博が恥ずかしげに言うと女性は、「いえ」と微笑み、「どうぞ、お掛けになってください。今、お飲み物持ってきますので。ホットコーヒーでいいですか?」
「あ、はい。すみません。ありがとうございます」

「この度は、当事務所のボランティアへのご応募、誠にありがとうございます」柴坂聖子が丁重に頭を下げる。「まだ選挙まで半年ありますので、こんな感じで……」がらんとした事務所を見渡す。「誰もいないことも多いんです。すみません、こちらから時間を指定したのにお待たせしてしまって……」
 あらためて詫びる聖子に忠博は胸の前で小さく両手を振る。
「あ、いえ……」目の前の女性の若さと美しさは、まばゆいばかりだ。「私でよければ、なんでもお手伝いさせていただきますので」
「ありがとうございます……助かります。随分前から、藤岡がお世話になっているようで」
「あ、いえ、お世話だなんて……応募フォームにも書きましたけど、前回の選挙のときに藤岡先生の街頭演説をたまたまお見かけして……感銘を受けて……もちろん、投票させていただきました……」
 ホームページからボランティアの申し込みをして、今日の面会に至ったのだった。
「その節は、ありがとうございます。おかげで初当選できました……あのときは、私はまだ学生で」
「柴坂さんも、前回の選挙から……」
 忠博はもらった名刺を一瞥して言う。
「はい。見習いでしたけど…………藤岡とは、いとこの間柄なんです」
「なるほど……どおりで……」
「え……」
「そう言われると、ご容貌が……やはり似ていらっしゃいますね。どちらもお美しくて」
 忠博は思ったとおりのことを口にした。二人とも目鼻立ちがくっきりとした正統派の美女である。
「いえ、そんなことは……」聖子は照れて顔の前で手を振る。「じきに本人もくると思いますので……」

「はじめまして、藤岡です」
 白いスーツを着こなした藤岡玲子の立ち姿と美貌は、まさしく《モデル議員》と呼ばれるに相応しいものだった。東京でモデルとしてファッション誌や婦人誌を中心に活躍していたのだが、四年前に帰郷し地元の県会議員として立候補、当選した。大学時代にモデル事務所にスカウトされたことがきっかけで回り道をしてしまったが、法学部出身の玲子が政治の世界に携わることは、当時からの夢であった。
「こ、小竹です……ど、どうぞ、よろしくお願いいたします」
 忠博の緊張が一段と高まる。
「こちらこそ、小竹さん。助かります」
「先生、はじめましてじゃないそうですよ」
「あら、どこかで?」
 二人は親戚関係にあるらしいが、人前では、特に聖子の方は、立場をきっちりとわきまえているようだ。
「そうでしたか……握手までしておいて、ごめんなさいね」
 忠博の説明に玲子はうなずき白い歯をこぼす。
「いえ、とんでもありません。私の方こそ、もう少し早くお手伝いに来るべきでしたのに……ただ、これまでは仕事が忙しくて……今はそれもなくなりましたから……」
「会社をお辞めになったんですってね。いろいろと事情はおありでしょうけれど」
 応募フォームの内容を聖子からざっくりと聞いていた玲子が言う。
「次は、どちらへ?」
 玲子にコーヒーを持ってきた聖子が尋ねる。
「それは、まだ、なにも……しばらくは休息をと思いまして……」
「そう……」玲子はカップをすする。「うちにしてみればありがたいことだけど……」
「はい、時間はたっぷりあるので、こき使ってやってください」
 忠博は二人の美女にあらためて頭を下げた。
「ふふっ、頼もしいわ。ねえ、聖子ちゃん」
「ええ、とても。ところで小竹さん、パソコンとかお詳しいですか?」
「あ、はい、いちおう前の会社では、そのような部署にいたもので……」
 それを聞いた女性たちは顔を見合わせて手を叩いた。
「じゃあ、ホームページとかも……」
 聖子が目を輝かせる。
「はい。ひととおりは」
「どうですか? うちのホームページ。前いたボランティアの人に作ってもらったんですけど、古くさくないですか」
「そんなに言わなくったっていいでしょう」
 聖子の言葉に、玲子が苦笑いする。
「だって、本当のことですよ」
「あ、ええ……」忠博が応える。「確かに、いろいろと改良の余地はあると思います」
「小竹さん、もしよかったら……今から少し打ち合わせさせてもらってもいいですか?」
「もちろん、大丈夫です」
「よかった、本当に」玲子が立ち上がる。「いい方が見つかって。小竹さん、よろしくお願いしますね」
 玲子が求めてきた握手に忠博は立ち上がって両手で応えた。指が長いのだろう。女性にしては大きな手に感じた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「先生、そろそろお時間が……」
 ひとりの男が入口の扉を開き、顔を覗かせて言う。
「入ってきて。紹介するわ」
 玲子が手招きして男を呼び入れた。
「あ、はじめまして、蛭川ひるかわと申します」
 忠博が受け取った名刺には、藤岡玲子事務所の秘書と書いてあった。薄い頭髪を整髪料で整えた小男だった。年齢はもう還暦近いだろう。
「小竹です。この度、ボランティアとしてお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「蛭川、あなたができないって言ったホームページのリニュアル。小竹さんにお願いすることにしたから」
「あ、ああ……すみません、私の技術では、どうにも難しくて……」
 蛭川は苦笑いをした。忠博は、玲子が、自分の秘書とはいえ、ずいぶん年上であろう男性を呼び捨てにしていることに驚いた。
「難しいんじゃなくって、やる気がないんでしょ。そもそも」
「先生、それは……」
 蛭川は腕時計を気にしながら額の汗を拭う。
「次、少し遅れるからって、連絡入れて」
「あ、はあ……」
「対話集会でしょ。公民館の。いいよ、少しくらい」
 蛭川が電話をかけ始めたのをきっかけに、聖子がパソコンデスクに忠博を案内し、ウェブサイトリニュアルの打ち合わせを始めた。
 玲子はソファに腰掛けると煙草に火を付けた。電話を終えた還暦間際の小男を立たせたまま説教を始める。忠博は、聖子と打ち合わせしながらも、背中の方から聞こえる玲子の声が気になって仕方なかった。
「……で、ホームページの話に戻るけどさ、いちおうは自分でもやろうとしたの?」
「は、はい……」
「本買って、勉強した?」
「い、いえ……そこまでは……」
「そこまではって、それが基本でしょうが」
 女性が一段と声を張る一方で、男の言葉は消え入りそうになっていく。
「すみません……」
「で、自分じゃ手に負えないからって、親戚のボランティアに丸投げしたんだったよね? たしか」
「あ、あああ……それは……はい、甥っ子です」
「どうしたの彼。最近まったく見ないけど」
「アルバイトが忙しいみたいで……」
「ずいぶん無責任なことだよね、蛭川一族さんは、ああ?」
 玲子が声を荒げる。
「申しわけありません……」
「本来、あんたが石にかじりついてでも勉強して、尻拭いしなきゃならない立場でしょ。わかってる?」
「はい……」
「あんたはボランティアじゃないんだからね、給料払ってんだよ。それに見合う仕事できてるのか? おまえ、蛭川、ああ?」
「も、申しわけありません……」
 玲子が怒声を浴びせ、蛭川が涙声になり、忠博はさすがに、ウェブサイトの打ち合わせに集中できなくなってしまった。見かねた聖子が後ろを振り返り、「先生、もうそろそろ」と声を掛けた。

☆ 二

「どうですか、先生」
 聖子は忠博が作り替えた藤岡玲子議員の公式サイトを本人に見せて感想を尋ねる。
「いいわね、凄くセンスいい。しかも、こんなに早く。よく作れたね」
 満足のいく表情でうなずいている。
「ええ、頑張らせていただきました」
 忠博ははにかんで言う。無職となって失い掛けていた自信が少しは取り戻せたような気がした。
「しっかし、まったく……いままでのは何だったのかって思うよね……」玲子は旧いサイトのプリントアウトを見ながら、怒りを募らせる。「蛭川っ!」
「はいっ」
 事務所の隅で作業をしていた老秘書が立ち上がり、こちらへ向かってくる。
「見てみな、これ。どう思う?」
「あ、はい……私のつくったものより、かなり……いいですね……」
「呑気なこと言ってんじゃないよ、馬鹿」
 玲子は小男の頭を軽く叩いた。
――ああっ……
 忠博は心の声で叫ぶ。
「すみません……」
「こんな酷いサイトつくってさ、長いこと恥さらしにしてくれたよね、あたしのこと」
「申しわけありません……」
「もういい、蛭川、おまえは今後一切、ウェブサイトに関わるな」
 玲子はゆるく波打った栗色の髪を苛立たしげにかき上げる。
「は、い……」
「これからは全部、この小竹さんにまかせるから」
「しょ、承知しました……」

「驚きました?」
 忠博を昼食に誘った聖子が尋ねる。
「え、ああ……はい……少し……」玲子のことだと察し、苦笑いする。「でも政治家の先生は、あれくらいが普通なのかもしれません。外で気を張っていらっしゃるから……」
「ええ……あと、蛭川さんも、ちょっとのんびりしてるっていうか、抜けやミスが多いから。彼にも問題はあると思います……」
 玲子と面立ちは似ているが、聖子は黒髪のストレートヘアである。艶のある美しい髪質だ。
「ああ、はあ……」
「あ、大丈夫、小竹さんは。先生も凄く信頼を置いてると思いますよ……だから……どうか、辞めたりしないでくださいね……」
「いえ、ご心配なく。それはありません。ただ、本当にちょっと驚いただけで……」
「それと、これは先生の方からもぜひ伝えておくように言われたんですが、うちの事務所で活動するに当たって絶対に守っていただきたいことがあるんです」
「はい」
 忠博は緊張して姿勢を正す。
「事務所内で見聞きしたことをけっして外部に漏らさないようにしてください。それから……レコーダーなどの録音機器を持ち込まないこと……一昨年のあの一件以来、先生も過敏になってるんです」
 女性国会議員による男性秘書へのパワハラ事件のことを指しているのだと、忠博は思った。秘書の録音を週刊誌がリークして、男性秘書の人格を否定するような激しい罵声や暴行が明らかになったのだ。連日のようにテレビが過剰報道し、女性議員はついに引退へと追い込まれてしまった。
「あ、は、い……わ、わかりました……」
「すみません。お気を悪くされないでください。ボランティアをお願いしておきながら、ずいぶんと厚かましくて失礼な話ですけど」
「い、いえ……ご事情も先生のお気持ちもお察しします……それに、ボランティアを志願したのは私ですから。こちらのルールに従うのは当然だと思っています」
「ありがとうございます……そう言っていただけると助かります」
 申しわけなさそうな聖子の表情を見ているとかえって気の毒になってきた。
「で、明日からはどうしましょう?」忠博は自ら話題を切り替える。「ウェブサイトの管理といっても、もう出来上がっていますから、そんなに時間もかかりませんので、他にお手伝いできることがあれば」
「いいんですか、小竹さん、本当に」
 聖子は大きな目を輝かせる。
「ええ、もちろんです。ご指示いただければ、なんでもやります。毎日でも出てきますよ」
「本当に助かります。では、甘えさせてもらっていいですか」

 聖子の指示を受けて書類整理を済ませると忠博は彼女の元へ向かう。「柴坂さん、終わりましたのでチェックをお願いします」
 ずいぶんと年下の女性にそんなことを言うのは初めてで恥ずかしい気持ちがあったが、忠博はどうにもいいようのない興奮を感じてもいた。
「はい。バッチリです」忠博の仕事を確かめて、聖子は極上の笑みを見せた。「お仕事も早いし、言うことありません」
「次は、何をいたしましょうか?」
 褒められて素直に嬉しくなる。
「えっとぉ、どうしましょうね」
 聖子は事務所を見回すと顎に指を当てて少し考えた。
「あ、あの、もしよかったら……掃除でもしましょうか」
 忠博は自ら申し出る。
「え……」
「い、いや、別に汚いとか、散らかってるとか、そういうことではなくて……」
 聖子の驚いた顔に、忠博は焦って言葉を継いだ。
「すみません。実は、私もそれ思ってたんですが、そんなことお願いしていいものかどうかと……」
「ぜ、ぜひやらせてください……聖子さん……」
「あ、はい……」
「すみません、下の名前で呼んだりして……かまわないでしょうか……」
「それは、どうぞご自由に……じゃあ、すみません、よろしくお願いします」
 聖子は照れを隠すようにして、そそくさと自分の机に戻ろうとした。忠博は、掃除道具一式の場所を聞くとさっそく新たに与えられた仕事を始めた。

「ただいま」
 玲子の声に、聖子が仕事の手を止め、「おかえりなさい」と振り向いた。
「先生、お帰りなさいませ」
 忠博も掃除の手を止め、出先から戻ってきた玲子に頭を下げると、引き続き打ち合わせテーブルを拭き上げていく。
「ほら、見てご覧よ」
 玲子は後ろから着いてきた蛭川に言う。外出の際はもっぱら彼に運転手をさせているようだった。
「こんなことまでやってくれてるわよ、小竹さん。あなたも少しは見習ったら?」
「あ、はい……」
「へらへらしてる場合じゃないでしょ。冗談で言ってるんじゃないんだよ」
 またもや軽く頭を叩くのが忠博の目に入る。
「すみません」
 どうやら男は叩かれ慣れているようだ。避けたり反抗したりする態度はみじんもない。玲子の怒りをそのまま受け入れている。
「聖子ちゃん、お願いしたの?」
「いえ先生、それが、小竹さんのほうから言っていただいて……」
「あ、はい……」忠博は照れくさそうに顔を上げる。「志願といいますか……とにかく先生のお役に立ちたいので……やらせてください……」
「助かるわ。ありがとう、小竹さん……」玲子が上品な笑みを見せる。「ちょっとゆっくりしていいかしら、朝早くから三つも回って疲れちゃった」
「どうぞどうぞ、私などに遠慮なさらず……」
 忠博は恐縮しきりで自分の仕事に戻る。聖子も体を正面に戻してパソコンを打ち始めた。
「蛭川、おいで」玲子はソファに腰掛け、長い脚を組むと、老秘書を呼びつけた。「ついでに休もうとしてんじゃないわよ。運転してただけでしょ、おまえは」
「あ、はい……」
 小男はおどおどして、玲子の前にしゃっちょこばった。
「座れ、そこ」
「あ、あああ……」
 蛭川は忠博の方をチラリと見て大きく唾を飲み、容赦を乞う眼差しを玲子に送った。
「正座だよ」
 玲子にもう一度きっぱり言われ観念した蛭川は靴を脱いで、実年齢以上に若くて美しい雇い主の足元にひざまずく。
「す、すみません……」
「すみませんって何? 何に対して謝ってるの?」
 長身の美人議員は首を少しかしげ、明るい色のウェーブヘアをかき上げて言う。
「は、はい……事務所の掃除を自分から買って出なかったことです……」
「わかってるじゃない、わかっててなんでできない?」
 スカートの中がひざまずいた男から見えそうなのにまったく気にするそぶりがない。目の前の老秘書のことを男とみなしていないのだろうか。
「申しわけありません……」
「謝ってばっかじゃなくてさ、理由が知りたいわけ。こっちは」
「…………」
 蛭川は言葉を失い、床を見つめている。
「どこ見てんの、おまえ。こっち見なよ……あたしが話ししてるんだからさぁ、ちゃんとこっち見るのが筋でしょ」
 モデル議員がヒートアップしていく。
「は、い……」
「待ってたんだよ、あたしは。あんたの方から、言ってくるの。掃除だけじゃなくって他にもいろいろやることあるんだから。そもそも秘書なんて名ばかりじゃない。運転しかしてないんだから、運転手でしょ、実質、おまえは。違うか?」
「はい……すみません……」
「ふーっ」
 玲子は大きくため息をつくと煙草をくわえて火を付けた。
「小竹さん」議員が忠博の方を見る。「あなたうちで秘書やる気ないかしら。ボランティアじゃなくって、きちんとお給料も出しますから」
「せ、先生……」
 すぐに反応したのは、蛭川の方だった。焦りに満ちた顔で、うんと年下のボス女性を見上げている。

☆ 三

 翌日、忠博は蛭川に誘われ近くの喫茶店へ昼食に出た。
「正直言って、私はあまりおすすめできませんよ。小竹さんがうちの秘書になられるのは」
 そう言って蛭川は食後のコーヒーをすする。薄い頭を整髪料で整えスーツを着ているのであるが、貧相な小男のせいか、どこか物足りない印象を与える。玲子の怒りを買うのも、この風貌がたぶんに影響しているのではないだろうか。
「そうですか……」
「ご覧になったでしょう……先生の厳しいところを。小竹さんはまだボランティアの立場だから、先生も遠慮されてると思いますけれど、これが給料をいただく身になれば……」
「まあ、ある程度は……覚悟しています」
「それはそれは……」蛭川は驚いた顔、呆れた目で、忠博を見つめる。忠博の決心が本物だと悟ると言葉を続けた。「小竹さん、本当はあんなものではないんですよ」
 二人きりの場面では、激しく暴力を振るわれることがあると、蛭川は時折興奮気味につばを飛ばしながら長々と語った。
「本当ですか……」
「ええ、これは秘書長の柴坂さんだって知らないことですよ……あ、ほら、たとえばここ」
 蛭川はそう言って左腕の袖を捲った。大きな青あざができていた。
「あ……」
「ね。気をつけの姿勢をしているところへ、回し蹴りですよ。いかに気性の荒い女性か……反省や謝罪の態度を示しているのに、興奮した彼女はまったく手がつけられないんです」
「そこまでされて、辞めようとは思わないんですか?」
「まあ……いまのところは……」蛭川は言葉を濁した。「いちおうは政治家の秘書という立場が与えられますし……ただ、小竹さん、私が言いたいのは、あなたが思っている以上に、厳しい職場かもしれませんよ、ということです…………あ、もう、こんな時間だ。戻らなくっちゃ」

「蛭川さん、どこにいたんですか? 携帯を何度も鳴らしたのに」
 事務所に戻ると聖子が言った。彼女には珍しく厳しい口調だ。
「小竹さんとつい話し込んでしまって……携帯、車の中に置き忘れちゃって……先生は?……」
「タクシーで行きましたよ。予定が少し早まったらしくて」
「ええっ……そうなんですか……」
「それくらい想定しといてもらわないと……」
 上司である立場上、聖子も注意せざるを得ない。
「ええ。でも先生が一時半と言われたので……それまでは大丈夫かと……」
「だから……予期せぬことも起きますから……携帯持ち忘れたのって前にもなかったですか」
 聖子は半ばあきれ顔で言う。
「すみませんでした。もうわかりました。車の掃除をしてきます」
 蛭川は憮然とした顔で出ていった。
 聖子は両手を少し広げて、首をすくめた。
「難しいですね。年上の男の人を注意するって」
「あ、いえ、まあそうでしょうか……でも、聖子さん。僕には遠慮なく注意して下さい」
「あ、はい」聖子の顔に笑顔が戻る。「でも小竹さんは、注意なんて必要ないですよ」
「いえ、今はいいかもしれませんが、もしこちらで秘書としてお世話になることができたら、それは初めての経験なので、聖子さんに教えていただくことがたくさんあるかと思います。どうか、厳しく鍛えてやってください」
 忠博は照れを隠すかのように少しおどけた調子で言った。

「ねえ、蛭川、あんた本当にいい加減にしないと……」
 戻ってきた玲子は、さっそく老秘書を足元に正座させて説教を始める。
「す、すみません……」
「携帯の通じない秘書なんて問題外でしょ。ねぇ、蛭川……それも、今度が初めてじゃないよね」
 玲子の言葉に、忠博の向かいで作業をしている聖子もうなずく。
「申しわけありません……」
「あたしもそろそろ踏ん切り着けなきゃいけないのかな……小竹さん」玲子はテーブルで作業をしている忠博に視線をやった。「運転免許持ってますよね」
「あ、はい……」
「じゃあ、決まりだね。小竹さんには今日からでもさっそく秘書としてやってもらいましょうか」
「わ、わたくしは……」
 蛭川が声を震わせて尋ねる。
「秘書をそんなに抱えられるほど、うちは余裕ないしね。悪いけど、蛭川さん、あなたはクビです。明日からこなくて結構」
「そ、そんな……先生……ど、どうか……ここで使っていただけないとわたくしは……」
「自業自得でしょ。そんなこと言うくらいなら、どうしてもっと真剣に仕事してこなかったの」
「すみません……心を入れ替えて勤めますので、どうか、もう一度、機会を与えていただけませんでしょうか……」
 蛭川はもはや、聖子や忠博が見ている前でもはばかることなく、床に頭を着けんばかりに謝罪し、懇願する。
「無理だよ。何度言っても同じじゃない。理解できないんでしょ、この頭は」
「ひっ」
――ああっ……
 忠博は目を見開いた。玲子のヒールがわずかに蛭川の頭をこすったのだ。忠博の表情を見て聖子も作業を止め、玲子の方へ視線をやる。
「あなたがちゃんとできるのはさぁ、体罰受けたときだけでしょ」
「は、い……」
「どうする? みんなの前で大恥かいて生まれ変わってみる? それとも今日限りでさよなら?」
「…………」
「どうすんのよ」
 再び玲子のヒールが、今度はまともにコーンという音を立てて、老秘書の頭頂部を蹴った。
「はうああっ……ど、どうか……お願いします……気合いを入れてやってください……」
「そう……じゃあ、遠慮なくいくわよ。コートのポケットに、手袋入ってるから持ってきて」
「あああ……先生……」
 皆の前で女ボスに予想以上の本腰で殴られることを悟り、男は怯える。
「早くしなさいっ」
 蛭川から受け取った革手袋をくわえ煙草の玲子が装着している。忠博の方から見える小男の横顔は、まるでこれから厳罰を受ける囚人のようである。顔色を失い、喉を大きく動かして生唾を飲み込んでいる。
「さて、何発いこうか」
 玲子の革手が蛭川のネクタイをぐいと引き上げ、膝立ちさせる。
「ひぃ……」
「先生」聖子が思わず声を掛ける。「……暴力は、どうなんでしょうか」
「聖子ちゃん、これは暴力じゃないわ。指導よ」
「でも……」
「どうする、蛭川さん。やめようかもう。暴力はよくないみたいだから」
「い、いえ……お願いします……先生……」
「じゃあ、あなたの口から説明してあげてよ」
 玲子はそう言うと、聖子を手招きして隣に座らせた。
「し、柴坂さん……」
 床を見つめたまま声を絞り出す蛭川に「顔上げなさいっ」と玲子の厳しい叱責が飛ぶ。
「はいっ」
 蛭川に見つめられて、聖子は緊張気味にタイトスカートの脚を固く閉じる。
「柴坂秘書長、わ、わたくしが今から先生から受けるのは暴力ではありません。指導です。それをしていただかなければ、わたくしはここにいられません。ど、どうか、ご理解くださいませ……」
「いいんですか? 本当に」
 聖子は心配そうな眼差しを蛭川に送って言う。
「はい……大丈夫です……」
 忠博の目には喫茶店で息巻いていた男とは別人のように映った。
「いいよね」
 玲子は、もう一度確認を取るように聖子に尋ねる。
「ええ、ご本人が納得しているのなら」
「ようし、こっちおいで」
 玲子は再度、蛭川のネクタイをひっつかむと、ぐいとたぐり寄せた。
「はうううっ……く、苦しいです……」
「これくらい耐えなきゃ。しっかり指導して欲しいんだろ? おまえ」
「はい、うくぅ……」
「歯を食いしばれ」
「はぃ……」
「目は開けてろ」
 蛭川が目を開けると玲子の右手が上がり、頬をこっぴどく打ち下ろした。
「くがああっ……」
 返す手の甲で反対側を打ちのめし、さらに三発、四発と続き、五発目の強打で蛭川の体は床に投げ出された。
「かわあっ、うがああっ、ずはうううっ……」
「この能なしが、まだ足りないかっ」
 玲子はネクタイをつかんで蛭川の体を引き上げる。
「ひいいっ、も、もう、ご容赦を……玲子先生、堪忍してください……」
 蛭川の鼻の下が赤く滲んでいるのを見て、聖子がティッシュを渡してやる。
「優しいね、聖子ちゃんは」玲子が苦笑する。「でもね、ほんとのこと言うと、これは秘書長、あなたがやるべき仕事なんだよ」

☆ 四

「さっき聞いたんだけど、蛭川、おまえ昨日、聖子ちゃんに反抗的な態度見せたんだって?」
 ソファの玲子は今日も朝から蛭川を足元に正座させている。黒いトップスに上品な花柄スカート。手足の長いモデル議員は、まったく何を着ても様になる。
「あ、はい……つい……すみません……」
「そういうのは今後一切許さないからね」
 長いブーツの脚を組み替えるときに爪先が蛭川の額をかすめた。
「はかうっ、しょ、承知いたしました……」
「聖子ちゃん」玲子に呼ばれて、二十四歳の美人秘書長はまたも隣に座る。「秘書長として責任持って躾けてもらわないと。できるね?」
「はい」意を決したようにうなずき、足元にうずくまる老年部下を見下ろす。「蛭川さん、昨日のような態度は困ります。今後、気をつけてもらえますね?」
「……は、い……も、申しわけありませんでした……」
「誰に謝ってんだよっ」
 黒革ブーツの靴底が蛭川の額をまともにとらえた。
「あがあっ……し、柴坂秘書長ですっ……」
「だったらちゃんとそう言えよ。相手の目を見てきちんとっ」
「はいっ、し、柴坂秘書長……この度は本当に、申しわけございませんでした……」
 尖ったヒールで額を少し切り赤く滲ませた老秘書は、おどおどした様子で上目遣いに聖子を見る。
「わかりました。二度とそんなことしなくて済むようにしてください」
 顔を土足で足蹴にされた男に少しの同情は示したものの、もはや玲子の暴力を非難することはなかった。
「……は、い……」
「いい?」玲子が聖子に確認するように問う。「いいの、ほんとにこんなので……土下座になってないじゃない。あたしだったら頭踏みつけちゃうけどな」
「す、すみませんっ……」
 蛭川は慌てて、額を床にこすりつけた。
「蛭川さん、わかったわ。もういいから頭、上げて」
「ほんと優しいわね。聖子ちゃんは……まあ、いいわ、少しずつ頑張って」
「ええ、すみません……」
「あと、あれもお願いね」
「あ、は、はい…………蛭川さん、もういいわ。立って、ください……あと、小竹さんも、ちょっとこっちへ」

「今から、身体検査をさせてもらいます」
 ヒールで立った聖子は、横並びに立つ忠博と蛭川を見下ろして言う。ヒールなしでも彼女の身長は二人よりは高い。

S女小説 麗しき残忍「モデル議員の牡秘書虐め」


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