妻は女社長、夫は運転手。
夫は妻を乗せたベンツを自宅の前で停めると運転席から降りて、妻が乗る助手席へと周り、ドアを開けて恭しく跪く。
妻が黒革のサイハイブーツを履いた長い脚を車の外に出す。
気弱な夫はおもむろにその靴をつま先から舐め始める。
そうするように妻から命令されているからだ。
妻の目的はブーツをきれいにすることではない。
ただ、夫を恥ずかしい目に遭わせたいだけだ。
だから、ひょっとして、誰かから目撃されるかもしれない家の塀の外で、このような行為をあえてさせているのだ。
近所に何を言われようとも妻は気にしない。鬼のような、女王のような妻と言われるならば、それは彼女にとってむしろ褒め言葉である。
しかし、奴隷のような、犬のような、情けない、惨めな夫だといわれるならば、それは夫の心を大きく傷つける。それこそが、残酷な妻の目的なのである。
「もっと丁寧に、踵の方も」
夫は妻がいいというまで、惨めなブーツ舐めを続けなければならない。
「靴底は特に念入りにね」
泥道をさんざん歩いてきたブーツの底を舐めろと平然とした表情で命令する。自分より一回り年上の男だろうと関係はない。女と男は力関係がすべてなのだ。
従業員を三〇〇名抱える企業トップである彼女の権力をもってすれば、このような夫はどうにでもできる。気にくわなければ明日にだってこの家から叩き出してもいいのだ。
ブーツのヒールを夫はまるでフェラチオをするように舐める。そうすれば彼女が悦ぶことをしっているから。
今日の彼女は革のロングコート。つまり全身が黒革に包まれている。その重厚でハードな雰囲気はまさしく彼女の存在にふさわしい。
「オマエにはプライドってものがまるでないのね……女のブーツを命令されるがままに舐めて」
妻はわざと夫が傷つくような言葉を放つ。
「プライドなんてものがあれば、そんな惨めったらしいことをしないわよね……ほら、返事をしなさい」
「は、はい……ご主人様」
夫は妻のことをそう呼ばされている。
ブーツは嬉しそうに舐めるものよ。と日頃から言われているので、彼はまるで自分が好きでそうしているように振る舞っている。舌をペロペロと大げさに動かして、彼女に懸命な様をアピールするように。
両手でブーツの踵を大切に持って、靴底を舐める姿は奴隷そのものだ。
夫は手を取って、車から外に出る妻を手伝う。コートの下の白いシャツは大きくはだけ、豊満なバストの存在を感じさせる。
家の中に入った妻は、庭先のベンチに片脚を掛ける。
「舐めなさい」
夫はうんざりしつつも、その脚にすがるようにして、またブーツを舐め始める。
彼女が舐めろと言えば、そうするしかない。
「ほら、ごらん、オマエ舐めきってないところがたくさんあるよ。手を抜くんじゃないわよ。いまから全部きれいになるまでやらせるからね」
長いサイハイブーツの全部を舐めさせるつもりである。
「ほら、そこの溝になっているとこにも舌先を入れ込んでやるのよ」
ベンチの横には、磔台が立てられている。
しくじった夫に懲罰を与えるための設備である。
「ほら、こっちの脚はまだやってないでしょ」
脚を代えて妻はいう。
夫はそちらの脚も必死で舐めるが、なんといっても表面積が広いハイサイブーツであるため、もはや唾液が乾ききってブーツクリーニングの用をなさなくなった。
「駄目だね、オマエは、今から一本鞭で百発打つわ」
「お、お許し下さい、ご主人様……」
夫の哀願を無視して、妻は、彼に磔台に立つよう命じる。
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