妻はグローブを嵌めるなり、無防備の夫の顔面に強烈なパンチを食らわす。そして高らかに笑う。
手加減はまったくない。
今日から、夫は長い有給休暇だからだ。
妻は、親友に優秀な開業外科医がいることを嬉しく思う。
案の定、夫は一発のパンチで鼻と口から両方同時にどす黒い血を垂れ流している。
こんな酷い目に遭わせられながら、彼は抗議することはおろか、彼女の目をまともに見ることすらできない。
日々の凄まじい暴力で涙はとうに涸れ果てている。
妻は夫の流す血に興奮して彼を押し倒し、馬乗りになる。
肩から腕ごと跨いで彼の体から自由を奪い、渾身の力を込めて、さらに顔面を打ち下ろす。
右、左、右……、返り血を浴びても、妻は気にしないどころかむしろ興奮を増す。
打たれる度に、ああっ、ああっ、と声を上げる夫。
「殴り殺してやるよ、オマエみたいな能なしは……」
ああっ、あああっ……夫の悲鳴が、次第に、小さく、かすれていく。
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