S女小説 名門私立S女学園3「全校統一」を電子書籍として出版しました。
内容紹介
学年全体を制覇した女生徒たちがその嗜虐熱を、さらなる次元へ向けてたぎらせていく物語
女子高教諭の稲田弘信は、教え子ばかりでなく、女性教師や妻にまで虐待蹂躙される立場へと身を堕としていた。そのきっかけをつくり、いまでは学年全体を牛耳っているのが二年一組の早川沙樹であった。沙樹の最終目標は彼女の意志による学校全体の統一である。しかし、その野望を阻もうとするのがPTAそして生徒会の存在であった。教諭であり沙樹の奴隷でもある稲田弘信は、これらの障害を取り除くべく工作員の役割を厳命されるが……。彼を待ち受けていたのは地獄の苦難であった。
第一章 女生徒のブーツ舐め
第二章 双子姉妹の壮絶責め
第三章 生徒会長の復讐陵辱
第四章 検尿検便の責任担当
第五章 血の臭い漂う学園祭
第六章 永遠に輝く女子覇権
本文サンプル
第一章 女生徒のブーツ舐め
☆ 一
「おはようございまぁす」
愛らしい女生徒が弘信を追い越しざまに一礼して、校門へと入っていく。
「おはようございます」
稲田弘信は微笑んで挨拶を返す。
きっと一年生だろう。解禁になったブーツも履いていない。こんなに早い時間に登校するとは、部活生だろうか。
それにしてもよく冷える。十二月ももう半ばだ。こないだまで黄金色に染まっていた銀杏の木もすべて葉を落とし、桜女学園のキャンパスはすっかり冬景色となっている。修学旅行で印を入れられた両尻がまだヒリヒリと痛む。
「おはようございます」
「ああ、おはようございます」
よく見かける顔の女生徒たちが三名ほど、やはり足早に弘信を追い越していく。三年生は、もう受験も追い込みだ。この時期すでに補習は行ってないはずなので、それぞれ自習に励むのだろう。ひとりはミドル丈の革ブーツ、あとの二人は羊毛で覆われたモコモコとしたブーツを履いている。彼女たち三年生や二年生のうちでもクラス委員でない一般の学生がよく選んでいるタイプだ。これなら学生らしくて好ましいと、弘信は思う。
―――カツ、カツ、カツ……
後ろから迫ってくるヒール音に弘信はドキリとして振り返る。
「お、おはようございます……」
先に声を掛けたのは弘信だ。
「おはよう」
登校してきたのは、弘信が副担任を務める二年一組の早川沙樹だ。切れ長の目を持ち、鼻筋のスッと通った美貌は一段と洗練を増してきている。うっすらと化粧をしているのではないかと思えるほどに完成した面立ちが冬の朝日に輝いている。ブレザーの制服の上に濃紺のコートを羽織り、チェックのスカートから伸びた長い脚は、例のごとく膝下が本革のロングブーツに覆われている。ヒール込みの彼女はもはや弘信が見上げなければならないほどに背が伸びていた。手にはクラス委員のトレードマークであるオープンフィンガーの革手袋が装着されている。
「早川さん、きょ、今日はバイクの方は……」
「ちょっとカスタマイズしようと思ってね。ショップに預けてんだ……たまに歩くのもいいよね」
女生徒はうっすらと笑みを浮かべていった。
「で、ですね……そう思います……」
沙樹の機嫌がさほど悪くなさそうなことに、弘信はホッとする。彼の一日の幸不幸は、この教え子の気分に左右されることが多かった。弘信は辺りを見回して、他の生徒が近くにいないことを確認する。
「か、カバンをお持ちいたしましょうか……」
恐る恐る言う弘信に沙樹はしばし見下した視線を送ると、黙ってカバンを渡した。
校庭の石畳をカツカツとブーツのヒールを鳴らして歩く沙樹に、弘信は従者のようにしてすぐ後を追う。教室のある校舎へ入っていくものと思いきや、女生徒は入り口を通り過ぎて、校庭の方へ向かった。
「きょ、今日は?」
弘信は思いきって声を掛けてみた。考えてみれば、彼女にしてはずいぶんと早い登校だ。
「部室だよ……やることたくさんあるからね……」
映画研究部の部長である彼女が言った。
「私にできることがあったら、なんでもお申しつけください……」
弘信は紺色の上質なコートの背中に小声を掛ける。一年生の頃はショートだったボブヘアは長めのミディアムボブとなり、うなじがほぼ隠れている。この髪型にブーツの足元も相まって、今朝の沙樹は大人の色香が一段と増したように弘信は思った。
「すっかり寂しくなっちゃったね」
弘信のへつらいを無視するように、沙樹は校庭の木々に目をやって言う。
「そ、そうですね……」
弘信もあわせるように辺りを見回し、慌てて頷く。
「あなたも寂しいんじゃない。だいぶきてるよ頭、特に後頭部」
「あ、ああ……はい……」
度重なる虐待や陵辱のストレスからだろうか、確かにこの一年で、抜け毛、薄毛がかなり進行したように思う。もちろん、あなた方のせいだなどとは口が裂けても言えない。弘信の口から出たのは、「すみません」という言葉だ。「お見苦しくて……」頭をかきながら、十七歳の美少女に苦笑いを送る。
沙樹は南校舎に入り、視聴覚教室の隣にある部室へと向かった。弘信も追って中へと入る。
「こ、ここは……」
教材用の映像メディアをストックする棚以外は、倉庫として使われていた部屋だが、いまでは映画研究部の部室として編集用のパソコンや打ち合わせテーブル、ソファに観葉植物まで置かれ、弘信が声を挙げて驚く程の様変わりだ。それまで同好会だったのが、十二月から部に昇格するという話は聞かされていたが、ここまで充実させるには、相当の予算が下りたのだろう。
「なかなかでしょ」
沙樹はコートを脱ぎながら自慢げな表情を見せる。
「ええ、さ、さすが早川さんです……」
弘信は愛想笑いを浮かべながら、沙樹のコートを受け取り、ポールハンガーに掛ける。部長である彼女の許可を得て、エアコンのスイッチを入れた。
「とりあえず、コーヒー淹れてきてよ」
沙樹が奥のキッチンスペースを顎でさして命じた。
「は、はい……」
「さ、沙樹さん、わ、私はそろそろ駐輪場の方へ……」
弘信は淹れ立てのコーヒーを手渡しながら恐る恐る言う。
毎朝、クラス委員たちの通学バイクを迎え、手入れするのは弘信たちの仕事だ。沙樹は、教師の中ではベテランや中堅の年齢である成松や弘信を下っ端の仕事にこき使うことで、自分の力を男子教員全員に誇示しているようだった。それは今のところ見事に成功していた。沙樹の服装や素行を面と向かって注意できる男はこの女子高に一人もいなかった。
「いいよ、今日は。成松だけで」
沙樹は五十を過ぎたベテラン教員を平気で呼び捨てにする。
「でも……ひとりでは……とても……」
弘信は、十台を超えるバイクを一人で点検したり、磨いたりするのは時間的にも厳しいだろうと思い、若手教師に応援を要請していいか、沙樹に尋ねたが、あっさりと断られた。
「駄目。あのオッサン、ちょっとたるみすぎてるから……この辺で、痛い目見とかないと……」
時間が足らず、整備や手入れが中途半端になって、成松が、手脚に皮革を纏ったクラス委員たちから殴られ蹴られするのは明白だった。
「ってか、人の心配してる場合なの?」
「あ……い、いえ……」
沙樹の声音に怒気を感じ、弘信は身をこわばらせて、気をつけの姿勢を取る。
「座れ、そこ。正座しろ」
うら若き女帝はコーヒーカップをテーブルに置くと、ポケットからシガレットの箱を取り出した。
「は、はい……」
弘信は冷たくて固い床に正座する。沙樹がブーツの脚を組むときに、白いショーツが一瞬見えてドキリとする。
「何?」
「い、いえ……」
沙樹がシガレットをくわえてタバコの先を上下に動かす。
「あ、すみませんっ」弘信は慌ててライターを受け取り、火をつけて差し出す。「し、失礼します……」
「もっと、こっちこいよ。アタシが近づかないといけないの?」
股間を狙った鋭い蹴りが飛んでくる。
「ぐわううっ、すみませんっ……」
男教師は、膝をさらに進めて、消えた火を慌てて点けなおして差し出す。
「煙草の火くらいちゃんとやんなよ」
沙樹はフーッと大きく煙を吐く。
「申し訳ありません……き、気をつけます……」
顔面へまともに煙を浴び、咳き込みそうになるのを堪えながら弘信は正座の脚を整え直した。
目鼻立ちがスッキリした顔立ちをふわりと包むボブヘア、赤いリボンを胸元にあしらった白いブラウスに濃紺のブレザー、夏に比べてだいぶ長さが戻ったチェックスカート……ここだけみるとどこにでもいる女子高生のスタイルであるが、彼女の薄桃色の唇はタバコをくわえ、手には革手袋が嵌められ、膝下はロングブーツに覆われている。その佇まいは、日々、男子教師を恐怖に陥れている無慈悲なクラス委員のありようを見事に体現していた。
「なんでもおざなりにやってんじゃないよっ」
黒革ブーツが跳ね上がって、弘信の頬を激しく捉えた。
「ぎひいいっ……も、申し訳ございませんっ」
中年教師は大きくかしいだ体を起こし、怯えきった表情で美しき教え子を見上げる。
「罰だ。舐めろ」
土埃でうっすらと汚れた靴底が弘信の眼前に差し出された。
「あ、あああ……は、い……」
弘信が舌を差しだそうとしたそのとき、「おはよう」と声がした。
☆ 二
入室してきたのは葉山静香だった。大きな目を持つセミロングヘアの美少女は、沙樹の右腕的な存在で、この映研部でも副部長を務めている。
「おはよう」と沙樹が返す。
「あ、は、葉山さん、おはようございます……」
静香は弘信の挨拶は無視して、コートを掛けると、沙樹の隣に座り、自分でさっさと煙草に火をつけた。
「あ、すみません……」
弘信は慌てて掴んだライターを両手で握ったまま頭を下げる。
「いいのよ、こっちは。なんかやらされてたんじゃないの? 沙樹に」
「だったよね」
沙樹は煙草をくわえると、組んだ脚を戻して、前屈みの姿勢になり、弘信の頬を平手で強打した。
「はうううっ、す、すみませんっ」
「どうして、お前はそう集中力がないの?」
「も、申し訳ありません……や、やります……」
「何を?」
「お舐めします……」
「だから、何をだって」
土足のつま先がこっぴどく額を突く。
「はぐううっ……さ、沙樹様の靴をお舐めいたします……」
「ふふっ」
静香が煙草の煙を吹き出して嗤う。
「ブーツの靴底舐めてくれるんでしょ」
沙樹が興奮に小鼻を膨らませて言う。
「は、はい……」
「だったら、そう言えよ」
またもや脚が動こうとしたので、弘信は慌てて、「は、はいっ、沙樹様のブーツの靴底をお舐めしますっ」
「いいね、お前のその愛想笑い」沙樹が大きく煙を吐きながら言う。「静香にもよく見せてあげな」
「は、い……は、葉山さん……」
弘信はぎこちない笑顔を静香に向ける。静香はチャームポイントの大きな目で、じっと弘信を見据える。口元に湛えた笑みは蔑みの色を濃く帯びている。
「何?」
静香はそう言って、弘信の顔を目がけ、フーッと煙草の煙を吐きつけた。
「い、今から、さ、沙樹様のブーツの靴底をお舐めしますので、ど、どうか……ご覧下さいませ……」
「そうね、アンタの惨めなとこ、じっくり見たげるわ。せっかくだから、動画に撮ってあげようね」
そう言うとタバコをくわえて、席を立ち、ビデオカメラを手にして戻ってきて構えた。
「それなら、こうしないとね」
今度は沙樹がくわえ煙草でソファを立ち、リードの着いた赤い首輪を持ってくる。
「あああ……」
哀願の意を込めた弘信の嘆きを無視し、沙樹の革手が無情に首輪を装着する。
「さてと……」
沙樹がブーツの脚をTの字に組み、握ったリードをぐっとたぐり寄せる。
「あうううう……お、お許しを……」
「ふふっ」
静香は煙草を揉み消して、ビデオ撮影に集中し始める。
「だったら早く舐めろよ」
「は、はい……」
「お前、犬だろ? ウチらの」
「…………は、い……」
「んなら、『はい』じゃないでしょ」
静香がカメラを構えながら言う。
「ねえ」
沙樹が苛立たしげに、靴のつま先で弘信の顎を蹴った。
「あううっ…………わ、わんっ……」
女生徒たちは声を押し殺して嗤う。
「とっとと舐めろよ、犬っころ」
「は、あ、わん……」
弘信はT字に組んだ脚のつま先に顔を移動させて舌を伸ばす。静香のカメラに顔がしっかり映るよう沙樹がつま先を上向けた。
「ほら、笑顔で、稲田先生お得意の愛想笑いで、カメラ目線だよ」
静香の指示に従い、弘信はぎこちない笑顔を作って、レンズを見る。その上で舌を細かく使い、教え子のブーツの靴底に付着した土埃を舐め取っていく。
「返事はどうしたっ!」
沙樹のつま先が激しく弘信の口を叩いた。
「うがあっ……」唇の内側が切れ、血の味が広がっていく。「わ、わん……」
弘信は涙目で、容赦なき女帝を見上げる。
「続けろよ」
切れ長の澄んだ眼差しが厳しく見据える。
「わ、わんっ」
弘信は前よりいっそう、せわしげに、必死さをアピールするようにして舌を動かしていく。
「ほら、顔だけじゃなくて、体ごと動いて。横着すんじゃないよ」
「わ、わんっ……」
弘信は沙樹に指摘された通りに、体の位置をずらしながら、つま先から舌を下げていき、土踏まずを経てヒールの部分まで細かく舐めていく。歩きやすさを優先した厚めのヒールであるが、角の部分が鋭利で、舌に突き刺さるような感触を与える。ここをヤスリか何かで丸く削らせてもらうことができれば、体へのダメージがかなり減るのにと弘信は常日頃から思っている。特に結菜に蹴られるときはそうだが、この尖りが背中や太股に無数の傷をつくっているのだ。
片方の靴底を舐め終えた弘信は、終了の許可を請うように、女主人を見上げ、小さく、「くん」と鳴いた。
「終わったのか?」
沙樹の問いかけに、弘信は、「は……わん……」と応えてかすかに頷く。
「今、お前、はいって言おうとしたな?」
「はうあああ……」
弘信は、思わず、「すみません」と言おうとした口をつぐんで悲しげな顔を見せる。
「罰だ。口開けろ」
沙樹が火の着いた煙草の先を弘信の顔に近づける。
「舌出せ」
「あ、あああ……」
弘信が長く伸ばした舌の上に、灰がポンポンと落とされる。その様子がすべて、静香のビデオカメラに納められていく。
「たまには、静香も撮ったげようか」
沙樹がそう言って、静香からカメラを受け取って構える。
「さって、じゃ、どうしよっか」
静香は沙樹から受け取ったリードの先をぐっと引き寄せた。
「はううううっ」
組んだ脚のつま先に顔が当たりそうになる。静香が履いているのは、膝丈の編み上げブーツだ。韓国への交換留学の際、気に入って買ってきたらしい。留学生のソヨンが履いていたのとほぼ同じだ。膝下から足の甲辺りまで、びっしりと埋め込まれた金具に絡んでいる紐が、黒革ブーツにとてもハードな印象を与えている。静香の白い肌、愛らしいルックスとのコントラストが甚だしくて、複雑な魅力を少女に与えている。
「ゆ、許して、ください……葉山さん……」
弘信は怯えた表情で見上げ、生唾を飲み込んだ。
「何よ、まだ何もやってないでしょ」
「わ、わん……」
「ふっ、もういいよ、犬は……」
静香に鼻で嗤われ、弘信は自分から吠えてしまったことに赤面する。
「ほら、目線はこっち」カメラを構えた沙樹が言う。「笑顔で舐めな」
アングルに合わせて、今度は静香がTの字に足を組んだ。やはり白いショーツがチェックスカートの奥に見え、弘信はドキリとする。
「は、はい……し、失礼いたします……」
静香のブーツの靴底には滑り止めのスリットが刻まれていて、そこに細かな石や泥、砂粒が詰まっていた。弘信は、それらが口の中に入ってこないよう、慎重に舐めていったが、やはりいくらかはこぼれ出て、容赦なく舌を汚していった。
「教え子の女子に、きったない靴底舐めさせられてさ……悔しくないの? アンタ」
静香が小鼻を膨らませて言う。嗜虐に満ちた自分のセリフになおさら興奮を高めている様子だ。
「答えろよ、正直に」
沙樹がカメラを構えたまま、長い脚を伸ばして、弘信の背中を蹴った。
「くはううっ……は、はい……悔しくないと言えば……嘘になります……です……」
「持って回った言い方すんじゃないわよ、馬鹿」
静香がさきほど沙樹がしたようにつま先で弘信の口を叩いた。
「かうわうああっ……す、すみません……」
塞がりかけた傷口が開いて、新たな出血が始まる。
「どうなんだって」
静香の編み上げブーツが弘信の額を強く蹴る。
「ぐああっ……悔しいです……すみません……でも……」
「でも?」
静香は昂ぶった声を出す。まだ成長の余地を残した胸がゆっくりと上下に動いている。嗜虐の高ぶりで息が荒くなっている。
「でも……こ、これが私の立場ですので……仕方ありません……沙樹様や静香様のご命令ならば……従わないと……」
「仕方ありません? 何、じゃ、お前、ウチらから言われて、嫌々やってんだ」
女生徒は男教師の言葉尻を捉まえてさらに追い込んでいく。
「い、いえ……そんな意味では……」
「そういう意味でしょ。いまそう言ったじゃん」
「しゃべればしゃべるほど、ボロでちゃうね、お前、稲田」
沙樹は静香の言葉責めに感心しながらカメラを向け続ける。
「そろそろ、始めようか、沙樹。時間ないし」
弘信に汚れたブーツの靴底をさんざん舐めさせた静香はそう言うと気がすんだような表情をしてソファを立ち、パソコンデスクへ向かった。
「修学旅行でたくさん撮りためたからね。これから編集で大忙しだよ」
沙樹が弘信を見据えて言う。
「あああ……」
弘信は、自分が教え子のディルドを咥えたり、尻穴を犯されている映像も当然含まれているのだろうと思う。
「稲田!」静香が珍しく大声を挙げる。「ボーッとしてないで、アタシにもコーヒー淹れてよ」
「は、はいっ……ただいま……」
☆ 三
「成績については、まったく問題はありません。この調子で取り組んでいただければ、来年の大学受験もかなり優位に進められると思います」
弘信は早川紗津季に何度も同じ言葉を繰り返した。
沙樹の母親に会うのは初めてのことだった。切れ長の涼しげな目、スッと通った鼻筋は、まさしく沙樹に通じる美貌だった。
「そうですか……安心しました。もっと早くお目に掛かりたかったのですが、なかなか仕事が忙しくて……ごめんなさいね……その上、先生を拙宅に呼びつけてしまって……しかも、お休みの日に」
紗津季は女性向けの宝石や皮革製品を輸入販売している会社の社長であった。年齢は四十歳手前と聞いているので、弘信よりも少し年下である。そうは思えぬ若々しさ、また年下と思えぬ落ち着きを持った淑女であった。
「いえ……だ、大丈夫です……それに拙宅だなんてとんでもない……こんな素晴らしいお宅は、私たち雇われ教員には夢のまた夢ですよ……」弘信は高級家具が設えられ、調度品で飾られたリビングを今一度見渡して言った。「で、では……私はそろそろ……」
弘信は出張面談を切り上げ、腰を上げようとする。
「あら、もう少し、ゆっくりしていってくださいな。お急ぎかしら?」
「い、いえ……そういうわけではありませんが……」
弘信は上げかけた腰を下ろして、不安げな表情を見せる。一瞬、沙樹に言われたような錯覚を覚えた。母娘であるので当然だが、紗津季の面立ち、声質、スタイルは、どれも沙樹の気配を感じさせる。
「稲田先生」紗津季は切れ長の目で、弘信をじっと見据える。「私にもあのサービスをお願いできますか?」そう言った直後に、今日初めて見せる妖しい笑みを浮かべた。
「え……いや……あああ……」
弘信はハッとする。よく考えてみれば、当然の流れだった。クラスの教え子である葉山静香や木橋陽子の母親とは懇意のはずだ。なぜ彼女は例外だと思ったのだろうか。沙樹の母親だからか。ならば、むしろなおさらではなかったか。心身の準備がまったくできていない弘信はうろたえる。
「聞いてますよ、クラスのお母さん方からいろいろ……私もいつか時間ができたら、お願いしようと思っていたの」ブランデー入りの紅茶のせいか紗津季の頬はやや火照っている。「稲田先生のご熱心なサービスをね……」弘信の下半身にねっとりとした視線を送って言った。
「し、しかし……お、お母様……今日は、ご主人も……」
弘信は、さきほど飲み物を運んでくれた紗津季の夫、沙樹の父親のことを思う。
「かまわないわ」紗津季は鼻で嗤って、アルコール入りの紅茶を飲み干した。「少し待ってて。準備してくるから」そう言い残してリビングを出て行った。
「おまたせ」
「はい……ああああ……」
顔を上げた弘信は驚愕する。彼の瞳に映っているのは、紗津季ではなく、娘の沙樹であった。制服のブレザーに、赤いネクタイ、ブラウス、チェックのスカート……いつも学校で見る姿の彼女であった。
「さ、沙樹さん……今日は外出をしていると……」
「いまさっき学校から帰ってきたんだよ。映研の様子見に行ってて。編集作業が貯まってるからね……それはいいけど、ママから話は聞いたよ……さ、行きましょ。もう準備OKみたいだからさ……」
沙樹の誘いで、弘信は早川家の地下室へ降りていった。
「こ、ここは……」
部屋の様子に弘信は驚く。赤と黒の二色にまとめられた地下室は、まるでSMルームのようだった。妻の恭子に鞭打たれるときに使うホテルの部屋にそっくりだ。黒い壁に映えるX字の磔、おどろおどろしい雰囲気を醸している鉄の檻。床には血の色を思わせるビニル製のマットが敷き詰められていた。
「ようこそ、早川家特製の仕置き部屋へ」
奥のベッドに腰掛けた紗津季が言った。真っ赤なバスローブを纏って、リードを手に握っている。その先には首輪を着けられた彼の夫、つまりは沙樹の父親がブリーフ一枚の姿で正座をさせられていた。
「こ、これは……」
「さあ、行って」
あまりに特異な状況にうろたえる弘信の背中を沙樹が押す。
「おいくらでしたっけ?」
「あ、いえ……奥様、いくらなんでも、沙樹さんやご主人がいらっしゃる前では……」
「平気よ、うちはこういうのオープンなの」
「アタシは大丈夫だよ、もちろん」
母親に続いて沙樹が言う。
「あなたは?」
紗津季が痩せこけた執事のような夫を見下ろして言う。
「は、はい……」
夫であり父であるはずの男は無念を堪えるようにして返事をした。
「当然でしょっ」
紗津季が腕を伸ばして、そのしおれた頬に平手を一発張った。
「はううっ」
「仕事もできない、男としての役割も果たせないんだからさ」
「は、い……で、でも奥様……」
「何?」
弘信は男が妻をそのように呼んでいることに驚く。
「せ、せめて、私は上の部屋にいてもいいでしょうか……」
「何言ってるの、それじゃ罰にならないでしょう。お前、こないだ私の浮気に嫉妬したでしょう」
「え、あああ……紗津季様……」
「罰として妻が逆風俗サービスを受けるところを見ていなさい」紗津季は夫にそう言い放つと弘信の方を淫欲に疼く目で見た。「稲田先生、おいくら? さっさと始めましょうよ」
「あ、ありがとうございます……」
弘信は紗津季から受け取った紙幣をしまうと、奥のシャワールームで体を洗い、ブリーフ一枚の姿で紗津季の足元に跪く。
左手の椅子には沙樹が腰掛け、彼女の命令で父親がロングブーツを履かせている。首輪のリードはいまは娘が握っている。
「あなたも着けようか」
紗津季がそう言って、弘信の首にも首輪を装着し、リードを接続して、ぐいと引っ張った。
「うくうううっ……」首を引き上げられた弘信は苦しそうに呻く。「ど、どうか……お手柔らかにお願いいたします……」
「ふふっ、それは……あなた次第よ」紗津季は弘信の顎を掴んで上向かせた。「さぁて、どうしてくれるの?」
「あ、はい……きょ、今日は、わたくし稲田弘信をお買い上げ頂き、誠にありがとうございます……」
弘信は、沙樹から徹底的に仕込まれたセリフと態度で、実業家であり、妻であり、母親である美熟女に傅いた。
「うん……で?」
「わ、わたくしは早川紗津季様の舌人形でございます。どこでもお舐めいたしますので、何なりとお申し付け下さいませ……」
「任せるわ、いつもやってるようにやって。葉山さんや木橋さんたちにしてあげてるように」
「は、はい……で、では、おみ足から……」
「へえ、足を舐めてくれるんだ……」
「指を一本一本、しゃぶってくれるよ」
沙樹が言う。
「うん、やって」
赤いペディキュアの親指が、弘信の唇に突きつけられる。
沙樹と同じく一本一本が長い指を持つ足だった。教え子たちの足はさんざん舐めさせられているが、紗津季が彼女たちと違うのはペディキュアをつけていることである。ペディキュアそのものの味はないが、体に毒はないだろうかと気にしながら舐めしゃぶっていく。
「ふふ……くすぐったいわね」
美熟女の足の皮膚や垢のしょっぱさ酸っぱさが瞬く間に口のなかに広がっていった。
「さて、次は?」
足を舐め終え、いったん口をゆすいできた弘信に紗津季が問う。
「あ、はい……お母様方はたいてい、乳首、ご希望があれば、わ、腋なども……」
「それは今日はいいわ。あまり時間が無いから……その後は?」
紗津季はそう言って、一瞬、夫の方を見る。
「うう……」
男のかすかな呻きが、弘信の耳に入り、思わず目をつぶる。
「ねえ」
紗津季がリードを手首に巻き付けて引き上げる。
「くううああっ……は、はいっ……最後は、あ、アソコになります……」
「アソコって?」
「先生、ちゃんと言わなきゃ、ママ分かんないよ」沙樹がからかうように言う。「初めてなんだからさ」
「お、オマ○コです……」
弘信は顔が熱くなるのを感じながら言う。
「何だって? よく聞こえなかったわ」
紗津季がリードをさらに引き上げる。
「うくああっ、お、オマ○コです。さ、紗津季様のオマ○コをお舐めいたします」
「聞いた?」紗津季は夫の方を見て白い歯をこぼした。「今から、沙樹の先生が、アタシのオマ○コを舐めてくれるんだってさ」
☆ 四
「す、すみません……」
弘信は紗津季の夫の顔を見ることはできなかったが、そちらの方へ向けて頭を垂れた。
「あなたが謝ることないわよ。アタシが仕事として頼んでるんだから」
「ほら、パパ、稲田先生がやりにくいんだって。なんか言ってあげたら?」
沙樹が言うが、父親は「あ、ううう……」とうなるばかりだ。
「お仕置きが欲しいの?」
弘信がうつむく父親の方を改めて見ると、彼の胸にはすでに無数の鞭傷がうっすらと見て取れた。
「い、いえ……」父親は声を絞り出す。「先生、お願いします……」
「何をっ?」今度は妻が大きな声を出した。「はっきり言いな」
「はいいっ」夫は声を裏返す。「せ、先生、妻の……紗津季のオマ○コを舐めてやってください……よ、よろしくお願いします……」
「あ、は、はぁ……」
弘信は声の方に一礼すると紗津季の下半身に正対する。紗津季はバスローブの腰紐を解いた。くびれの利いた白くてグラマラスなボディには、黒いブラジャーとショーツだけが着けられていた。紗津季はショーツに手を掛けると腰を少し浮かせて太股まで降ろし、弘信の顔をじっと見つめる。