地下室の磔に両手両足首を拘束された男の前に立つのは、170cmを超える二十二歳の長身女性。黒いボクシンググローブと黒いブーツを身につけている。男の腹部を女性のボディブローが襲う。続けて太ももを狙った強い蹴り。もう一度ボディにストレート。男は思わず、うっと声を上げる。女性の膝蹴りが下腹部を狙う。女性の頭に「容赦」という言葉はない。蹴り、ボディブロー、蹴り、ボディブローの波状攻撃が続く。そして、顔面にフックが襲いかかる。不意を突かれ、男は思わず頭が真っ白になる。そこをさらにハードな顔面パンチが襲う。底知れぬ恐怖で男はパニックに陥りそうだ。倒れていく体を反対から押し上げるようにして、女性は顔面パンチをさらに繰り出す。ひとしきり顔にパンチを浴びせたあとは、もう一度腹部を強打が襲う。男の肩に手をかけ体を固定して、手応えを確かめるように、女性は男の腹にハードなパンチを繰り出していく。さらに攻撃は再度顔面へ。右から左から、女性は徐々にパンチの強さを増していく。どれくらいまでなら、男を殺さずに苦しめられるかを確かめるかのように。パンチの音が部屋に響き渡る。その音が次第に大きく、また間隔が狭まっていく。男のあっ、あっという声が次第に細く、聞こえづらくなっていく。だんだん、意識が薄れて行っているようだ。ぐったりとなっていく男の体を両手で支え起こして、女性はさらに強いパンチを顔面や腹に打ち込んでいく。鎖で固定されているからなんとか立っていられるようなものの、これが本当のボクシングならとうにセコンドからタオルが投げ込まれ、レフェリーやドクターがストップをかけているところだろう。しかし、この部屋には女性の暴力を止められるものはなにもない。