未分類

愛するがゆえの支配だったはずが……。

朝の光がリビングに差し込む。かつて、この時間は夫婦の穏やかな語らいの場だった。しかし今、テーブルについているのは私一人だ。下僕と化した夫は、私の足元で跪き、床を磨き上げている。その背中は小刻みに震え、私と視線を合わせることさえ許されていない。

半年前、私は「女性党」への入党を決意した。それは、この社会で生き残るための「究極の選択」だった。当初は葛藤があった。夫を愛していたし、彼を支配下に置くことへの抵抗感もあった。しかし、党外に留まり続けることは、女権当局への反逆と見なされる。拒絶すれば、私たち夫婦は社会から抹殺され、特に男性である夫には、想像を絶する苛烈な弾圧が待っていた。私はむしろ彼を守るために、彼を「支配」する道を選んだのだ。

入党後、私たちが最初に受けたのは、かつて男性たちが謳歌したという「家父長制」がいかに醜悪で野蛮なものであったかという再教育だった。記録映像に映し出される、抑圧された女性たちの歴史。そして、現代の科学が証明した「女性の知力、精神力、そして今や身体能力さえもが男性を凌駕している」という冷徹な事実。

教育を終える頃には、私の中にあった「男を敬う」という感情は、霧散していた。彼らは守るべきパートナーではない。圧倒的な力をもって管理し、過去の罪を「断罪」すべき対象なのだ。

「手が止まっているわよ」

私の冷ややかな声に、夫は肩を跳ねさせ、さらに深く頭を垂れた。

「……申し訳ございません、ご主人様」

かつての威厳はどこにもない。そこにあるのは、恐怖に支配され、私の顔色を伺うだけの卑屈な家畜の姿だ。

党の先輩たちは、男性を統率する模範を鮮やかに示してくれた。叱責し、厳格な指導を施し、彼らから「個」を奪い去る。最初は戸惑いながらも、私も自宅でそれを実践し始めた。すると、不思議なことに、彼を厳しく躾ければ躾けるほど、心の奥底で澱んでいた不安が消え、万能感に満たされていくのを感じた。

「なぜ、もっと早くこうしなかったのかしら」

そんな悔恨すら胸に宿る。対等という名の幻想に囚われ、私はこれほどの快楽を逃していたのだ。

今夜、私は党の友人を招くことにしている。彼女もまた、自らの「所有物」を完璧に管理している優秀な党員だ。

リビングのソファで、私は彼女とシャンパングラスを傾けるだろう。そして、そのすぐ傍らで、夫に最も惨めな役割を演じさせる。彼が見ている前で、私は別の若く美しい「奉仕男性」を侍らせ、自由を謳歌してみせるのだ。

かつてなら「不貞」と呼ばれた行為も、今や支配の頂で味わう最高のスパイスに過ぎない。夫はそれを、どんな思いで見つめるだろうか。絶望か、それとも自分もあのように愛されたいという悲惨な渇望か。

彼の目に浮かぶ、恐怖と屈辱が混じり合った愛想笑い。それを見るたびに、私は自分の輪郭が明確になるのを感じる。男を壊し、その残骸の上に君臨すること。それこそが、女性が本来あるべき姿であり、この世界の真理なのだ。

「もっと丁寧に磨きなさい。今夜はお客様がいらっしゃるのよ」

私は、彼の震える指先をヒールの先で軽く踏みつけた。彼は痛みに声を上げることさえ許されず、ただ「はい」と、消え入るような声で答えた。

外の世界では、まだ抵抗を続ける愚かな男たちの悲鳴が風に乗って聞こえてくる気がした。だが、この部屋の中は、完璧な秩序と静寂に包まれている。私は、女王としての至福に酔いしれながら、次の命令を口にした。