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S女小説 鬼女教官2「奴隷収容所」

S女小説 鬼女教官2「奴隷収容所」を電子書籍として出版しました。

S女小説 鬼女教官「地獄の研修」の続編となります。

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内容紹介

鬼のように厳しい女性教官たちによる奴隷研修。鬼女教官「地獄の研修」続編。
女性上位企業で働くための「地獄の研修」を経て、牧田純一たち五名は、次のステップである「特別研修」に参加させられる。女性オーナーの個人奴隷としての役割が果たせるよう、男たちはさらに屈辱的、陵辱的な日々を強いられることになる。

序章  命あればこそ
第一章 最上級の屈辱を
第二章 鬼女たちの狂乱
第三章 女性専用肉便器
第四章 密かなる銃声
最終章 貴女にすべてを

本文サンプル

序章  命あればこそ

☆ 一

ここはどこだ?
目を覚ました牧田純一は、自分がベッドの上に寝かされていることに気づく。いったん体を起こそうとしたが、あちこちがズキズキと痛み断念した。頭だけ動かして、周囲を観察する。左手には白いブラインドの掛かった大きな窓。右手には、もう一つベッドがある。鉄パイプのシンプルなベッドだ。足元の向こうには、パーティションの役割をする白いカーテンが掛かっている。どうやらここは病室のようだ。鼻と口あたりに鈍痛を感じる。毛布から手を出して、触ろうとして止めた。純一は、少しずつ昨夜のことを思い出し始めていた。
部屋の向こうから足音が近づいてきて、ドアが開く音がする。純一は思わず目をつぶる。カーテンのこちらへ誰かが入ってきた。眠ったふりをする。椅子を動かす音。人の気配が接近してくるのを感じ、そうっと目を開けてみる。
「おはよう」
益岡麻由子だった。普段の事務服に戻っている。純一を蹂躙したときのハードなコスチュームは一時のことのようだった。昨夜は男性のようになでつけていた黒髪もナチュラルにふわりと降ろしている。可憐で美しい平時の彼女だった。
「お、おはよう……ございます」
「いいのよ、そのままで」
麻由子は慌てて体を起こそうとする純一を優しく制して、毛布をかけ直す。
「す、すみません……」
「何も謝ることないわよ……私の方こそ、やり過ぎちゃって……ごめんなさいね」
「いえ……そんな……謝らないでください……お願いしたのは僕なんですから……」
女医の桜井涼子が入ってくる。ここは研修所内宿泊棟の三階にある簡易医務室だった。純一が寝ている部屋は病室で、隣には簡単な診療室がある。
「起きたのね」
「お、おはようございます……」
白衣の涼子に純一は少し首を起こして挨拶する。美しい女性を見るだけで緊張する。失礼をすれば、暴力を振るわれるのではないかという思考が染みついている。涼子は麻由子の隣の丸椅子に腰掛ける。
「どう? まだ痛む? 一応、鎮痛剤は打っといてあげたけど」
「はい、少し……でも大丈夫です……」
純一は昨夜のことをはっきりと思い出す。強烈な顔面パンチを麻由子にもらって、血だらけになりながらも、恐ろしさで彼女のブーツに必死で舌を這わせた。彼の惨めな姿を見て、さらに興奮した麻由子は、彼の体を蹴りまくり、失神させてしまった。いや正確に言うと純一は気を失うふりをしたのだ。殺されないための防御反応だった。
「鼻骨と前歯と、ひょっとしたら、肋骨もやられてんのかな……もう少ししたら、病院につれていってあげるから」
涼子は純一を友人が経営している整形外科に連れて行くつもりだ。学生時代の親友なので、ある程度事情は話せる。
「すみません……ご面倒をおかけして」
麻由子は涼子の方を向いて頭を下げる。
「いえ、こういうときのために、私がいるんだから……」
涼子はそういうと、純一を病院に連れて行く準備をするために、診療室に戻っていった。入れ替わるようにして、女性が二人やってきた。純一が所属する会社の専務、西島直子と研修所主任教官の中田由紀恵だった。二人は共に三十三歳で高校時代の同級生だ。麻由子は椅子から立ち上がり、由紀恵と一緒に直子に詫びた。
「この度は申し訳ありません。少しやり過ぎてしまって……」
所有者の彼女に、預かり物を壊してすみませんとでもいうような謝り方だった。
「いえ、桜井先生にさきほどちょっと伺いましたが、思ったより大したことなかったようで……今日病院につれていっていただけるとのことで、こちらこそ、御手数をおかけします」
直子は、純一の方を見て、「大丈夫だよね」と言う。
「は、はい……本当にもう……皆さん、ご迷惑を掛けて申し訳ございません……」となんとかいったが、歯が抜けていて聞き取りにくかったかもしれないと、彼は焦る。
「そんだけしゃべれるなら、大丈夫だね」と直子。
「研修の方は、しばらく見学中心でやらせるから」と由紀恵が言うと、直子が、「引き続き、よろしくお願いしますね」と頭を下げた。
「あと、ちょっと話があるので、向こうへ行きましょうか」と由紀恵は直子と麻由子を連れてカーテンの向こう側へ行った。
「高田、コーヒー入れてきて」
「はいっ」
一番若い二十七歳の研修生、高田がいつの間にかカーテンの向こう側に待機していた。そのスペースに置いてあるテーブルを囲んで、由紀恵と麻由子と直子の三人は腰掛けた。しばらく雑談があって、高田がコーヒーを持ってきて並べ、壁際に気をつけの姿勢で待機する。純一はベッドの上で、彼女たちの様子を伺っている。カーテン一枚の隔たりなので会話もすべて聞こえる。
「五十嵐さんのことだけど、大丈夫かな」と由紀恵が言うと、「うん、本人もかなり乗り気だから、よろしくお願いします」と直子が応じた。この研修所の主任教官である由紀恵は、直子の部下である五十嵐亜紀を教官としてスカウトしたのだった。年上の男に容赦なく罵声を浴びせ躊躇なく暴力を振るえる彼女の資質があれば、きっと由紀恵が理想とする厳しい女性教官に成長できると考えた。
「益岡さんの方も、よろしくね」と直子が言うと、「ええ、大丈夫だよね、麻由子も」と由紀恵が答えた。
「はい、よろしくお願いします」と麻由子。
「トレード成立だね」と由紀恵が言うのを聞いて、純一は胸の鼓動を高めた。
(麻由子さんが、うちの会社で働くことになったのか……)
その後は、女性たちの会話は上の空で、純一は自分の妄想に入り込んだ。

麻由子が身近になることを聞いて、純一は体の痛みが抜けたように感じた。カーテンの向こうでは、女性たちがまだ、会話を続けている。体をゆっくりと起こす。実際にやってみると痛みを感じたが、なんとか半身を起こして、ブラインドの隙間から外を眺める。眼下にグラウンドと右手には研修室や事務室が入った校舎が見える。グラウンドの向こうは、忌まわしい旧校舎だ。拷問棟である。その風景から、純一は自分が女性宿泊棟の上階にいることを知った。
(ここにはこんな医務室まであるのか……)
グラウンドに迷彩服を着た女性を見つける。織田恵梨香だ。前に三人の研修生を立たせ、説教か何かを行っている様子だ。男たちは、小宮、遠山、生駒の三人だ。恵梨香が男たちの頬を順に張っていっている。それは体がよろけるくらいに激しいものだった。
(相変わらずだ……自分もこの痛みが落ち着いたら、再びあの暴力の嵐の中へ放り込まれるのだ……)
しかしそれは半ば純一が自ら望んだことでもあった。他の男たちにしてもそうだった。

女性たちはコーヒーを飲み終え、部屋を出て行く。由紀恵は、診療室の涼子に一声掛け、再び病室へ戻ってくる。内鍵を掛けると純一が寝ているベッドスペースへやってくる。高田はカーテンの向こうで気をつけの姿勢のまま待機している。純一は由紀恵が何か話してくるものと思い、彼女の方に頭を向けたが、由紀恵は何も言わず、モスグリーンのジャケットを脱いで、純一の右隣のもうひとつのベッドの上に置いた。スカートのファスナーも下ろし始めたので、思わず純一は目をそらす。
「いいのよ、見てて……こっちを向きなさい」
純一は由紀恵の方を見る。整いすぎた顔から鋭い視線が飛んでくる。ストレートの長い黒髪が美しい艶を放っている。そんな完璧な容姿の女性がこれからいったい何を始めようというのか。スカートを脱いだ由紀恵はベッドに腰掛ける。シャツの裾が股間を隠しているが、おそらく例のごとくショーツは身につけていないのだろう。彼女はたいていそのようだった。
「高田っ」
「はいっ」
「こっちおいで」
「失礼します……」
カーテンを開けた高田は、一瞬純一と目が合ったが、すぐに由紀恵に体を向けて、直立不動の姿勢を取る。
「舐めて。舌奉仕……服は全部脱いで」
そういって由紀恵は大股を開く。黒いガーターの紐が見え、股間の奥は黒々としている。
「は、はい」
高田は、作業服の上下を脱いで、床の上に畳み置く。シャツとパンツも手早く脱いで、その上にやはり畳んで置く。
「本当は、牧田にやってもらいたかったんだけどね。さすがにあの顔じゃできないでしょ。ね、高田」
高田は素っ裸で、純一の方を振り返ると、「あ、はい……」と困ったような顔をした。純一への同情心や心配、恥ずかしい気持ち、どことなく恐ろしい心持ち……いろんな心情が交じった複雑な面持ちを見せた。どんよりとした曇り空のような表情だった。窓の外の抜けるような晴天とは対照的だった。
「やって、早く」
「は、はい……」
高田は、眼鏡を外して脱いだ服の上に置き、由紀恵の股間にひざまずく。由紀恵はシャツをたくし上げると高田の頭髪をつかんで、股間に引きつける。
「ああ……」
高田が戸惑いの声を一瞬あげたが、すぐに自分の仕事に没頭し始める。裸にされた小さな若者が、大柄な女性教官の股間を舐めさせられている。由紀恵は、自分をしっかり見ていろとでもいわんばかりに純一の目を見据える。その強い視線に捉えられたようにして、彼も目が離せなくなる。股間への奉仕を第三者に見せることで、由紀恵は興奮を高めているようだった。桃色の唇が半開きになる。シャツのネクタイを緩めて外すとそれを高田の首に巻いてくくり、長い端を自分の手のひらに巻き付ける。高田の首を引き寄せながら、「もっと、舌を動かしな、ちゃんとやらないと、絞め殺しちゃうよ」と言う。高田は、「ううっ」と苦しそうな声を上げる。由紀恵は、白いシャツのボタンを下から外していく。
「もっと上の方……、そう、そこ、動かして、もっと舌を……」
ようやく由紀恵の視線が、純一から離れて、彼女は両手を後ろに突き、天井を仰ぎ見る。シャツの前がはだけて、豊満な胸を包んだ黒いブラジャーが露わになる。片手でフロントホックを外し、ぷるんと露わになった乳を自分自身で撫で触る。
「ああ……」
高田の舌がピチャピチャと音を立て始めた。由紀恵は両手で乳を揉みはじめ、純一の方へ視線を戻す。彼は慌ててそれに応えるように体ごと彼女の方を向ける。
「高田……入れたくなっちゃったわ。一発犯ろうか」
そういうと由紀恵は、二十七歳の赤ら顔に、ベッドに仰向けに寝るよう命じた。

☆ 二

「おお、牧田君、大丈夫だった?」
「牧田さん!」
病院での治療を終え、その晩、純一が研修室に戻ると皆が温かく迎えてくれた。禿げた生駒、自慢の髭を剃って再びマジックで髭を描くよう命じられた遠山、坊主頭の長老小宮、若い赤ら顔の高田……皆心配そうに純一の顔を覗き込む。
純一は、鼻にまだガーゼを当てていたが、他は大丈夫のように見えた。
「ご心配をおかけしてすみません。鼻が折れたとてっきり思ってたんですが、僕の鼻骨は幸い柔らかかったようで、ひびが少し入ったくらいで……放置で良いみたいです。前歯は二本差し歯になりましたけど……肋骨もなんとか大丈夫みたいで……」
「それなら、よかったね、いやよかったなんていっちゃいけないのかもしれないけれど……」
生駒がそう声を掛け、皆、頷く。
「益岡先生に?……」
高田がぼそりとそう聞く。先ほど、由紀恵に無理矢理犯されたところを純一に見られているので、どこかよそよそしく照れくさそうであった。
「ええ」
純一が、返事をすると、「まさか、あの娘がね……そんなに激しいとは……」と小宮が腕を組んで言う。
「そんな言い方したらまた……」と遠山がたしなめる。
「ですよ、小宮さん、我々はそれでなくても目をつけられてるんだから」と生駒が珍しく神妙な顔をして言う。
「でも、今日は、この部屋で寝られるんですね」と純一が久々の研修室を見渡して言う。
「うん、てっきり、あの檻の中にずっといなきゃならないのかと思ってたからね」
「死んでしまいますよ、本当に。人間が寝る場所じゃないもん。あんなとこ」
「先生たちも、いろいろ様子を見ながらやってるみたいだよ」
「織田先生、生かさず殺さずなんていってたからなあ」
「そろそろ、寝ますか、明日も早いし」
「そうだね」
「牧田君は、ランニング免除?」
「ええ、明日までは、いいっていわれました」
「いいなあ、俺も益岡先生に殴られたいよ」
「いいんですか、そんなこと軽々しく言って」
「いや冗談冗談……」
女性たちに受けた仕打ちを思い出したのか、生駒は、顔を引きつらせるようにして、自分の寝床を作り始めた。皆もそれぞれに布団を敷き、早々と就寝した。

第一章 最上級の屈辱を

☆ 一

研修室の壁時計が朝九時を指し示す。廊下から、複数のヒール音が聞こえてくる。男たちの身がグッと引き締まり、背筋が伸びる。扉が開き、美しく厳しい女性たちが入室してくる。主任教官の中田由紀恵、補佐教官の織田恵梨香、上司役の西島直子、五十嵐亜紀、そして女医の桜井涼子。中田由紀恵が教卓に着き、西島直子と五十嵐亜紀、桜井涼子が窓際の席に腰掛ける。織田恵梨香は、教壇の窓際の方に立ち、男たちを威嚇するように見回している。
「起立!」
純一が号令を掛ける。
「気をつけっ」
「礼っ」
「おはようございます」
皆、強く歯切れの良い挨拶をする。
「おはよう」
由紀恵の穏やかな声を聞き、一同は安心して着席する。
「牧田にトラブルがあって、若干、研修が中断してしまいましたが、今日からまた本格的に再開したいと思います……牧田、何か言うことある?」
由紀恵は思いついたように、純一に話を振った。突然のことに純一は慌て、その様子を見て、女性たちが微笑んでいる。純一はとりあえず起立する。
「あ、あの……こ、この度は私のために研修が中断してしまいまして、誠に申し訳ございませんでした」
そういって、純一は、女性たち一人ひとりの方を向いて、九十度のお辞儀をして回った。
「あれくらいで、ぶっ壊れてんじゃないよ、バカ」と二十五歳の元自衛官、恵梨香が言う。迷彩服を着てブーツを履き、長い髪を後ろで結んでいる。
「すみません……」
「みんな、最初に誓約書にサインしたよね」
今日も女性将校のようなスーツとネクタイ姿の由紀恵が、男たちを見渡す。
「何されても、どうなっても、文句言わないって……あれ、冗談でも何でもないからね。分かったでしょ、牧田を見て……」
男たちは、一様に頷く。
「あんなのまだ序の口だからね」
恵梨香がそういって、純一の横を通り、後方に移動する。
「《特別研修》の意味がまだよく分かってないみたいだから、説明しますね」
由紀恵はそう言って艶やかな黒髪をかき上げる。
「以前に受けてもらった通常研修は、従順に女性に仕えるための研修ね。男のプライドなんて言うまったく意味のないものを取り除く作業だったわけ。で、この特別研修は、そこから一歩先に進んで、女性を悦ばせるってとこまでいかなきゃならないわ。あえていうと、この課程を修了した皆さんは、ただの社員じゃなくて、あなたたちを雇っている社長や幹部たちの所有物になるってことなの。分かるかしら?」
皆、うなずくしかなかった。
「それくらいの覚悟があるから、自らここに来たわけでしょ?」
「……」
「返事はどうしたあっ」
恵梨香の怒号が男たちの背中に襲いかかる。
「は、はいっ」
慌てて純一たちは、大きな返事をする。
「牧田、オマエ、死ななかっただけでも、ありがたいと思わなきゃ。そうでしょ?」
由紀恵の妖しい眼差しが純一を射る。
「は、はい……」
「じゃあ、その感謝の気持ちを言葉にしてみたら?」
「は、はい……」
純一は立ち上がる。
「ここにはいらっしゃいませんが、益岡先生に手加減をしていただいたおかげで、鼻も折れずにすみ……このくらいでご容赦いただいて、本当に感謝しています……」
「そうだね……後で、本人に直接言っといたら?」
「は、はい……ぜひ、そうさせていただきます……」
「牧田、オマエ、それくらい自分で気づいて言っとかなくちゃ」
彼の会社の実質トップ、つまりは彼のオーナーである西島直子が横から声を掛ける。三三歳のキャリアウーマンは、ピンクの大きな花びらのヘアクリップで髪をまとめ上げ、ブラウンのスーツをスタイリッシュに着こなしている。
「はいっ、専務、申し訳ございません」
その直後、後ろの扉が開いて、麻由子が入ってきた。手にいろいろと荷物を抱えている。
「あっ」
純一は思わず声を上げたが、由紀恵が「後でいいから、彼女に謝っときな」と言ったので「はいっ」と返事をした。
「じゃあ、益岡さん、それ持ってきて」
由紀恵がそういうと、麻由子は前にやってきて、赤い犬の首輪と鎖の束を教壇に置いた。
「さあ、オマエたち、この首輪をいまから飼い主様につけてもらいなさい」
由紀恵からそう言われるも、男たちは椅子の上に固まったままだ。
「動け、早くっ」
恵梨香がブーツを鳴らして怒鳴ると、男たちはすぐさま席を立ち、教卓の上に乗っているそれを受け取る。純一は赤い首輪と鎖のリードを持って、女医である桜井涼子の元に行く。茶髪のショートカットが印象的な長身美女である。
「お、お願いします」
白衣にロングブーツを履いた彼女におずおずとそれを渡す。彼女は鼻で笑うようにし、「持ってなさい」と鎖のリードを純一に渡す。恵梨香が、生駒に屈辱的な言葉を何度も言わせているのを聞き、女性は皆それにならう。
「お願いって、何のお願い?」
涼子が純一を見下ろして言う。整った歯列が白く輝いている。
「は、はいっ……首輪をお願いします」
「それじゃ、何のことかまったく分かんないじゃない」
涼子は首輪を机の上にいったん置くと、白衣のポケットから、革の手袋を取り出した。恵梨香や由紀恵は早くも、奴隷の頬で景気のいい音を鳴らしている。女たちの怒声が飛び交っている。涼子の手に革手袋が装着される。足元のロングブーツと同様の光沢がある黒革だ。白衣との見事なコントラストが、純一の恐怖心を煽る。
「ねえ」
涼子の革の手が、純一の顎をつかむ。
「は、はいっ……ど、どうか首輪を私の首にめてくださいませ……」
「誰に、お願いしてんのさ」
そういうと、純一の頬を革の平手で打つ。
「あうううっ」
未だ腫れの引いていない鼻に激痛が走る。
「ねえって」
今度は手の甲で反対側の頬を打つ。
「あがうっ」
「聞いてんだよ、答えろ」
ボディパンチが純一の腹部を襲う。
「うぐっ、は、はいっ……桜井先生、ど、どうか首輪を私の首に嵌めてくださいませ……」
女医の涼子は、どの程度までなら大丈夫か、またどのくらい打てば最適なダメージを与えられるか、確かめるように純一をいたぶる。
「お手数をおかけしてすみませんくらいいえねえのかよっ」
恵梨香の恫喝が部屋に響く。
「ひいいっ、織田先生、すみません、申し訳ありません……」と泣き声で謝る生駒の首をブーツの靴底で床に踏みしだいている。
「だってさ」とそれを見て涼子が微笑む。
「は、はいっ、桜井先生、お、御手数をおかけして誠に申し訳ございませんが、私の首に、その赤い犬の首輪をおつけいただけませんでしょうか……すみません、申し訳ございません……」
そういって、純一は地獄の研修で教わった九十度のお辞儀を披露する。
「ようし」
涼子は赤い首輪を手にとって、純一の首に装着する。
「あたしの犬だろ、オマエ、牧田」
「は……わ、わん……」
「ふん……犬が二本足で立ってていいのか?」
ブーツの脚が膝頭を蹴る。
「あ……わん」
そういって、純一は床に四つん這いになる。涼子がしゃがんで犬男の首に鎖のリードを装着する。はだけた白衣の裾から官能的な太ももが露わになる。膝下からその白い肌は、暴力的な光沢を放つ黒革ブーツに包まれている。
「じゃあ、皆さん、いまから各自自分の犬を連れて、旧校舎に行きましょう」と由紀恵が言う。
「いくよ」
涼子が鎖のリードをたぐって引っ張る。純一は首を強く引っ張られて苦痛と恐怖を覚える。厳しい飼い主に怯える犬の気持ちが分かるような気がした。鎖の音をジャラジャラと鳴らしながら、男たちは四つん這いになり、女性のヒールの後を追う。廊下を這っていると、「おはようございます」という若い女性の声とすれ違う。嘲笑が純一の頭の上から降り注ぐが、恥ずかしくて顔を上げて見ることなどできない。すれ違う女性たちのすらりとした足元やスリッパがただ目に入るだけだ。この施設に研修に来る女性は、女優のような顔立ちやモデルのようなプロポーションの持ち主ばかりだった。
純一たちの存在は、ある程度、女子研修生たちの間では認知されているようだった。彼女たちも、早く仕事のスキルを身につけ、女性幹部となり、男奴隷を好きなように使ってみたいと思っているのかもしれない。
階段に差し掛かる。四つん這いで階段を降りるのは、人間にとって予想以上に困難だった。女性たちは、ここに限っては、男たちがスムースに降りられるように協力してくれた。
「犬だったら、もっと上手に降りなきゃ」
涼子は、そういって純一の頭をブーツのつま先で軽く小突いた。
「わ、わん……」
何にしろ、女性からの言葉には即反応しなければいけない。スルーや無視は御法度である。うっかりも許されない。というよりも、そんな失態を犯せば、確実に暴力制裁が返ってくるのを男たちは身にしみて分かっている。
本館と旧校舎をつなぐ屋根付きの廊下は、コンクリートだ。右手には倉庫がある。このコンクリートの廊下を四つん這いで渡るとさすがに膝が痛かった。ズボンを履いているとはいえど、たいして厚くもない生地なので、十メートルほどでも膝が赤くすりむけるほどのダメージを受けた。旧校舎の入り口に着き、先頭の由紀恵は、皆が揃うのを待った。

S女小説 鬼女教官2「奴隷収容所」